テレビアニメを劇場の大きなスクリーンで見ることは、子供達の大きな夢である。東映では創立以来、家族が揃って観られる娯楽大作の製作に力を注ぎ、昭和38年のTVアニメ放送開始時から長編アニメーション劇場公開時にTV作品を同時に公開するようになった。それがご存知「東映まんが祭り」で、その後10年間はTV作品を再編集版にし、或いは放映版そのものを上映していたが、昭和47年春に実写作品「仮面ライダー対ショッカー」でオール新作の劇場版TV作品に着手し、同年7月に実写路線をも凌ぐ゛夢のヒーロー競演作品゛ともいうべき「マジンガーZ対デビルマン」を完成させた。
テレビ番組の制約をこえて同一画面で自由に活躍させる趣向は、斬新で魅力的なものだが、あまりも異質なもの同士では違和感のみが全面に押し出されてしまう。それを可能にしたのが、原作・永井豪の存在であろう。一人の作家から生まれた一群のヒーロー共同体であるからこそ、観る者に違和感や反感を与えず独立した作品として成功したといえる。
また第二作「マジンガーZ対暗黒大将軍」にいたっては、マジンガーZが倒されるという当時のヒーロー物では考えられない構成で、「マジンガーZ」が「グレートマジンガー」に引き継がれるという予告的な展開をもみせ話題を呼んだ。(劇場公開後の9月に「マジンガーZ」放映終了、翌週より「グレートマジンガー」放映開始)
さらに特筆すべきはシネマスコープを最大限生かした作画・レイアウトで、現在のコンパクトに収まったビスタサイズでは味わえない充分の迫力が満喫できます。